不妊・不妊症
一般に注目されることの少ない事実ですが、人類は生物学的にもっとも妊娠しにくい種の一つのようです。月経周期の中で妊娠できる期間が短く、一ヶ月での妊娠確立は25%。ですから結婚後1年で10%、2年でも5%のカップルは妊娠に至らないとのデータがあります。子供を授かることは、本当に"有り難い"ことと言えます。
乳首の痛みと妊娠
では不妊の背景にはどういうことがありどのように対応したらよいのでしょうか。この原因については、男性・女性の双方それぞれに考える必要があります。男性の場合は、主に精子の量と質の問題です。これに影響を及ぼすものとして、喫煙、サウナ・熱い風呂などの高熱、ある主の治療薬などの影響も考慮する必要があります。、また精液の量を十分なものとするために、数日間の禁欲も有効なことがあります。婦人科でも夫婦ともに男性不妊も併せて精査・治療を検討される施設もあるようですが、特に精子の数や量の問題は泌尿器科が専門となります。一度、男性不妊の専門外来に相談されるのもよいでしょう。女性不妊の原因としては、ホルモンバランス異常に起因する排卵障害と、卵管通過障害・子宮内膜症といった器質的・物理的要因が多くを占めています。この診断については専門科に頼ることになりますが、月経困難症・月経周期(基本体温が大変参考になります)の乱れ、無月経などが明らかであれば、婦人科への受診が必要です。私どもの内科では、特に黄体機能不全の原因となりうる甲状腺機能異常、流早産の原因となる膠原病などのチェックや、各種内服薬・ライフスタイルの影響について検討させていただきます。
配偶者のうつ病の死
特に女性は不妊の問題を積極的に自らに求める傾向があります。それは、月経という目に見える形で性周期を自覚されることや、女性の内性器は外性器を介して外界と接しているために、しばしば不妊の原因となる付属器炎を生じやすいことがあるからかもしれません。不妊のもたらす精神的影響も無視できません。女性の精神的重圧、男性の自尊心をともに、ご夫婦で理解し支え合っていただきたいと思います。
不妊・不妊症には漢方を
女性の身体はきわめてデリケートなホルモンバランスの上で成り立っており、ストレスや環境の影響を受けやすいものです。心身一如を特徴とする東洋医学では、心身のコンディションを整えることで、妊娠に備え、妊娠を維持するお手伝いができるのではないかと思います。漢方治療には患者さんの状態を見極めるために用いる3つの考え方があります。
生体エネルギーとしての"気""血""水"のバランス
妊娠の維持には、女性にそれを受け入れるエネルギー="気"が必要です。また、漢方には月経困難症・月経不順・更年期障害に用いられる婦人の妙薬、いわゆる"血の道"のお薬(駆お血剤=血液改善薬)が数多くあります。男性にも、"気"を補うことが有効と考えます。
息切れ妊娠中
人体の連携しあう機能としての五臓
現代医学の臓器の名前と重なるためにしばしば混乱されますが、漢方では単一の臓器だけで捉えるのではなく、つながり合うシステムとして見ています。特に不妊では、怒り=いらいら・ストレスと関連する肝や、"気"の生成と貯留に深い関連のある、"脾"(主に消化吸収を司る)、"肺"(主に呼吸機能を担当)、"腎"(泌尿生殖機能を担う)を整え補う治療を考慮します。
陰陽虚実
冷えがあって暖めるべきか、体力的に補うべきかどうかを見定めます。
さて…定義では、望んで"1年"でも妊娠が成立・維持できない場合を不妊・不妊症とされますが、漢方治療をいつ受けるか?これもひとつの問題かと思われます。漢方治療は婦人科に行くより敷居が低くて受けやすい。 確かにそうかもしれません。しかしながら、女性では35歳以上の方や、月経の異常あるいは付属器炎の既往がある時には、まずは専門科への受診をお勧めいたします。もし、すでに何らかの治療を受けられている場合や、冷え性や様々な症状とともに併せて漢方治療を望まれる場合、原因が特に見つからない場合には、どなたでもお手伝いすることができると考えています。またご夫婦でおいでいただき、男性にも漢方的に「気」を補ったり「気」の異常を整えたりすることで、妊娠の確率を高められるのではないかと期待されます。どうぞご検討ください。
不妊・不妊症の治療を受けていますが…
「不妊・不妊症の検査・治療を受けているのですが妊娠しないのです」という場合、婦人科的検査はおおよそ済んでいることが多く、排卵誘発剤(クロミフェン、クロミッドなど)やホルモン剤(ブロゲステロン他)による治療がすでに行われています。
これまでの検査・治療内容をお聞かせいただいて、なお、婦人科的な検査が必要であるという例は滅多にありません。私たちは内科医ですので、妊娠しにくくなるような内科的疾患を検討し、必要なら西洋医学的治療も行います。さらに、漢方医学的に異常を診断し、治療します。漢方医学的には異常がないということはまずありません。漢方治療は、患者様の時間に余裕がない場合、早期に効果が望める処方を選択します。
- しばしば治療決定の参考になるのが基礎体温表です。受診の際は必ずお持ちください。
このような方に漢方をおすすめします
次のような場合に漢方治療を
- 西洋薬による治療に耐えられない。注射や服用すると、頭痛・めまいや吐き気、腹痛がして続けられない。
- 西洋薬による治療で効果がなかった。
- 体外受精もしたがうまくゆかなかった。
- 配偶者に問題がある(男性不妊)。
- 妻・夫のいずれにも問題がある。
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