(産後女性の10〜15%が産後うつ病、とのデータがあります。)
そのため、うつ病には「産後うつ病(PPD:Post-partum Depression)」と呼ばれる種類があるほど、うつ病の中でもよく見られる病気です。
この産後うつ病、あまり知られていないのですが、ほうっておくと非常に危険な病気です。
密室育児(母子が二人きりの状態)が多いことから赤ちゃんと一緒に無理心中という事態をひきおこすことがあります。
また、時々新聞をにぎわす母親による痛ましい「幼児虐待事件」、その背後にはほとんどの場合産後うつ病が潜んでいるのです。
最近になって厚生労働省でもようやくこのあたりの関連性について真剣な調査が始まっていますが、「じっくり検討」などと悠長なことは言ってられません。今、まさにこの瞬間にも産後うつ病の母親が子供を虐待しているかもしれないのです。
自分の子を縛りつけ、ミルクも与えず、泣きわめくわが子を一日中そのままにしておく、あるいはちょっと言うことを聞かないからといって火のついたタバコを小さな手に押し付け火傷させる...。
「なんて残虐な母親だ!母親になる資格がない!!」
そんな声が聞こえてきそうです。
でもちょっと待ってください。違うのです。母親が残虐になってしまったのではないのです。
脳のシステムに異常が生じて、母親自身、コントロールがきかなくなっているのです。
もちろん、危険ですからそのまま放っておくわけにはいきません。 適切な処置が必要です。
適切な処置とは何か。病気なのですから病院に行けばいいのです。 病院へ行って薬を飲めば治ります。
どうか産後うつ病というものについてよく知ってください。
産後うつ病に関する情報の少なさが児童虐待を助長しています。
今乳幼児を抱えている母親だけでなく、これから母親になろうとする人、父親になろうとする人、孫が生まれる人、子供を虐待したことがある人、ない人、皆さん知ってください。
母親の意思ではいかんともしがたい産後うつ病という病気があることを。
そして産後うつ病についての対処法を知り、母親と子供を救ってください。
児童虐待とまではいかなくても、産後うつ病は子供に悪影響を及ぼす可能性があります。
軽い産後うつ病でゆううつな気分が続いている程度でも子供は敏感に反応します。
母子の結びつきは不思議なもので、母親が病気だと、子供にも変化が現れます。
子供を育てたことのある方なら経験があるかもしれません。
例えば母親が風邪を引いて寝込んでいると、いつもと違って赤ちゃんがやたらに泣くとか、逆に母親の体調を気遣うかのように泣くべきときにも泣かず全く手がかからない、となど...。とにかくいつもと違う雰囲気を察知して、敏感に� ��ります。
母親が産後うつ病になったときも同じです。
「ママがなにかへんだ。どうしたんだろう?」
そして、産後うつ病が長引くと子供にもストレスになってきます。
そりゃそうですよね。大好きなママの元気がないのですから。
子供に悲しい思いをさせないためにも、産後うつ病という病気のことを知り、もし発病したらすぐ病院へ行くようにしてください。
それから。発病したとしても決して母親の責任ではないことを忘れないで下さい。
次の項目で述べるように産後はいつ発病してもおかしくない状況なのです。
もし責任があるとすれば、うつ病を発病しているにもかかわらず、病院へ行かずに長い間ほうっておくことについてだけです。
「うつ病になったら早� ��病院へいくこと。」これだけは肝に銘じておきましょう。